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森のコートハウス

木陰の下、昼寝をするように。

建築は、壁、屋根という要素で成り立っている。
木陰には、壁も屋根もない。
あるのは、心地良い木漏れ陽と遮るものがない風の流れ、そして木の下の包み込まれた包容力である。この建築では、壁、屋根というハードな要素を、木漏れ陽、風の流れ、包み込む、というソフトな要素へ変換した。
壁、屋根というハードなモノをソフトなイメージに変換する。
この行為を通じ、内(室内)でありながら外(外部)のような、外でありながら内のような空間を設計した。
具体的な構成としては、壁、屋根という要素を三重の層とした。
一重目の層は、家族を自然から守る外皮としてのハードな壁、屋根。
二重目の層は、外皮と内皮の中間領域に位置する建築の各部に点在した森。
三重目の層は、家族を自然とつなぐ内皮として包み込む壁、屋根。
外皮は強い陽射し、風雨から家族を守り、外皮と内皮の中間領域である森を通し、強い陽射し、風雨を更に柔げて室内に導く。
そして、内皮は家族を包み込む包容力として存在する。
メソッドとしては、各室の光は建築の各部に点在したトップライトから絞り込んで導かれ、木漏れ陽をつくり出す。光の扱いには様々な方法がある。面の光、点の光、線の光、更にそれらが直接的な光か間接的な光なのか。
ここでの光の扱い方は、点の光としている。点の光は、より象徴的に、より印象的に扱われ建築に命を与える。
その他のメソッドとしては、建築の外皮に設けられたスリットからは風を導き、大屋根と各室の間にできた空洞は、断熱効果を生むと同時に、小屋裏収納として機能する。
そして、もう一つのソフトは、RAKUENで全て統一された森(造園)、家具、照明、小物たちである。

真の空間は建築だけでは存在しない。
建築、造園、家具、全て同じ価値観で同じ美意識でつくる。
すべてつながっている。

美しい世界を。