備瀬の宿

敷地は本部町のフクギ並木にある、宿である。
一日数組の森の宿。 ここでは【時間】を設計しようと思った。目に見えないものを設計する。 本来、建築物とは人間が人工的に作るものである、かたいモノである。いかに自然を邪魔せず建てさせて頂くか、を心に秘めスケッチを繰り返した。
訪れた人に差し上げるもの、感動的な【時間】を求めた。
フクギの森の中には神様が宿る、という。 森の樹々の中を一筋の光が射し込む。光の粒子が判別できるほど澄み切った空間。樹々の葉が揺れる音。鳥のさえずり、遠くで聞こえる波の音。中庭からのぞく沖縄の青い空、風に運ばれていく雲たち。
人間は自然から生まれ、自然に還っていく。そんな時間に包まれて、時間を感じる場。