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4時45分。

imageここに来たかった。
 
数年前に旅したヨーロッパのロマネスク教会群。
その時行けなかった教会…
今回の旅でどうしても行きたくて、ここだけは…と念じて。
 
人里離れた村の宿に前乗りして、翌朝のミサに備え、夜もそこそこにして早めの就寝。
翌朝4時。宿をそっと出る。外はまだ肌寒い。
街灯一つない暗闇の空。澄んだ空気と届きそうな星たち。
遠くの山のシルエットが月明りで薄っすらと浮かび上がっている。
怖くなるほど真っ暗闇の世界の中、風で消えかかりそうな一筋の灯りを求めて、おそるおそる歩みを進める。
 
扉の隙間から漏れる灯りを前に、大きな木の扉をぎぃっ…と怖々、中へ。
闇から、光へ。無から有へ。
 
4時45分。朝のミサが始まった。
 
そこで感じた想い。
 
闇の音。
闇の中に音は確かに存在する。
闇と静寂の中、次第に耳の奥が重たくなって空気の音が聞こえてくる。
石の分厚い壁を通して聞こえる虫の音。風の音。そして空気の音。
張り詰めた空気の音が確かにそこにある。
暗闇の静寂の中では、自分の細胞の音が確かに聞こえる。
 
普段聞こえない音が聞こえる世界。
闇の中にこそ真実がある。
闇の中にこそ真の心の安らぎがある。
 
そして夜が明けた。

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PROFILE

山本 雅紹

建築家
山本 雅紹
Masatsugu Yamamoto

一級建築士

宅地建物取引士

 

その場にしかない空気を求めて

 

十代の頃から世界を旅している

 

あの町のあの曲がり角で感じた風

路地に差し込む光

 

水面を照らし出す夕陽

樹々の隙間から漏れる光と影

 

人が彩る熱帯

人が集う静寂

 

旅は空気を教えてくれる

目に見えない空気をつくりだす

 

建築は空気。

 

山本雅紹

 

<趣味>

世界中の町の空気を肌で感じる旅を10代の頃から続けています。旅を通してその場で感じたことは、建築をつくる上で大きな原動力となっています。

 

<旅した国>

フランス/イタリア/スペイン/ドイツ/スイス/トルコ/オーストリア/エジプト/アメリカ/フィンランド/カナダ/インド/カンボジア/中国/タイ/インドネシア/メキシコ/ポルトガル
旅のスケッチ

 

<好きなこと>

ビールを飲むこと

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