キャンディ。
『お、おれのキャンディは、、、?』
先日の沖縄大阪間の飛行機にて。
飛行機は、何回乗ってもやはりあまり好きな乗り物ではない。自由が無い、そしてたまにハプニングもある。
離陸後、しばらくして喉がイガイガしてきた。カラオケは嫌いな方ではないが、喉は個人的にはそこまで強い方ではない。
そんな中、タイミング良くアナウンスで『機内にて、キャンディのご用意がございますので、お求めの方はお申し付け下さい』この飛行機ではキャンディは手を挙げた方にだけ支給されるシステムのようで、喉と相談する間もなく、客室乗務員の方にキャンディの支給をお願いする。少々お待ち下さい、と快諾頂き、待つことしばし。
普段そこまでデリケートな方ではないが、喉がキャンディ有りきで考えてしまったのであろうか、喉のイガイガが進行している。いうならば、ようやく見つかったトイレに駆け込んだら行列、のような感じか。
そうこうしていると、前方から先程の淑女が手ぶらで颯爽と通路を歩き去る。
おぃおぃ、の、喉が。。。い、いや、しかし、大の大人がキャンディで騒ぐのも如何なものかということで、歩き去った淑女を首120度旋回で見送りながら、何もなかったかのように少し余裕な感じでやり過ごす。
しばらくすると、任務を終えたのか、後方から先程の淑女が今まさに手ぶらで通り過ぎようとしている。
いまだっ!とばかりに、発問する。
『あ、あ、あのぅ、キャンディまだでしょうか。』
『しばらくお待ち下さい』
喉不調で変な声交じりの短いやり取りの後、待つこと10分。
前方からキャンディカゴを両手でしっかりと持って先程の淑女が現れた。
いよっ!待ってましたぜ!大統領!とばかりに、体を通路側へ20%傾け、お待ちしてましたぜ的なポーズで少し余裕で迎え入れる。
と、なんと、その淑女は確信的かつ凛とした表情で小生の横を通り過ぎるではないか。
そして、小生の後部座席の患者、いやお客様へキャンディが入ったカゴを差し出したのである。
えっ、お、おれより症状深刻なん?
こ、こんなところに先約の患者がいてたんかいな、おいおい、てなことで、後部座席のリサーチを開始する。
ホシはどうやらアベックのようだ。様子を伺うと、何やら、『えっ、キャンディくれるの?ん、じゃあ貰おうか』的な空気がプンプンする。明らかにおかしい、ホシは健康体だ。
しばしの沈黙の後、カゴの中のキャンディを選び取る音がする。
カサカサッ。
そして、『テンキュー』。
えっ?
これは一大事である。
喉の負傷もそっちのけで、首を150度旋回させ、後部座席の患者を確認。グリーンマイルに出演してそうな黒人さんが着席している。そ、そして、問題の淑女はそのまま後方へと舵をきった。
小生も肌は一般の方よりは灼けている方だが、喉は人より強いという訳ではないのに。
『お、おれのキャンディは!?』
てなわけで、森のコートハウス作品公開しました。