僕のCAVEとは。 〜 その1
沖縄設計実績 CAVE complex テナントビルの外観写真です。
日本では、コンクリート打ち放しの建物は昔からありますが、コンクリート打ち放しといえば、
大阪が生んだ偉大な建築家安藤忠雄さんが根付かせた、ツルッとした綺麗な表情が、
よくあるものとして定着しています。
設計や現場では、コンクリートのパネル割りやセパ割りにパワーを注ぎ込み、安藤さんが定着させたコンクリート打ち放しを、皆さんつくっているように思います。
僕も駆け出しの頃は、コンクリート打ち放しの表情は、そのようなもの、として考えていた一人ですが、
今から10年ほど前、僕がつくっている現場で偶然に出会った、ある姿に魅了されてからは、
僕独自のコンクリート打ち放しを研究追求するようになりました。
当時、僕も事務所でパネル、セパ割りを一生懸命にこなしていましたが、
ある日現場へ訪れた際、荒々しいコンクリート面に、夏の陽射しが突き刺さっている姿に遭遇したのです。
まだ工事中のため、ガラスが入っていないトップライトからは、お盆前の夏の真っ青な空が広がり、
雲の動きに合わせて、その荒々しいコンクリートが、
ぼわぁん、ぼわぁん、、、、と、まるで生きているかのように、
呼吸しているかのように、僕の目の前に現れたのです。
ところで、
コンクリートというのは、硬く、冷たいものであり、設計デザインを相当に緻密に検討しないと、
人が生活する空間としては、厳しく、固く、そして圧迫感の塊になってしまいます。
僕は、コンクリートの建物をイメージするときは、まずこのコンクリートが持つ負のイメージを、
いかに払拭し、人が安らかに暮らせる空間をつくるか、ということを大切に考えています。
脱線をしましたが、
当時、その呼吸をしているコンクリートの壁を前に、しばらく動けなかった記憶があります。
日頃考えていた、コンクリートの負のイメージを払拭し、人が心穏やかに暮らせる空間をつくるためには、
ツルッとした綺麗な壁ではなく、地球の鼓動を映すような壁、息づかいが感じられる壁が必要だ、と感じ、
当時完成した建物に、【人間が棲まう原初的な場】という意味を込めて、
CAVE と名付け、本州や沖縄、日本全国で建築しています。
10代の頃、旅で出会った僕が最も大好きな建築の一つである、インド エローラの光にも思いを馳せ、
現場で出会ったあの夏の日以来、僕のコンクリート打ち放し【CAVE】は違ったものになりました。
CAVE、【人間が棲まう原初的な場】については、
ここでは語り尽くせないので、改めてまたの機会に語りたいと思います。
ちなみに、今は風景と共にある詩人のようなCAVEを設計しています。
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