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【祖父の想いをつなげて。。。】自分で建築をつくる。#6

自分で建築をつくり始めて、半年。

 

母屋、離れ、と様々な工程の中で、今かかっている建物が、25年前、祖父が生前つくった物置小屋。

 

当初は、建て替えようと考えていたが、さわりだすと大変頑丈で、柱梁仕口も瀟洒(しょうしゃ)な納まりで、何よりも几帳面な祖父の仕事が良く表れた小屋だったので、遺すことにし、孫の僕が手を加えることにした。

 

最初は、そこまで考えてもいなかったが、さわりだすとのめり込み、祖父の生きた痕跡、想いを引き継ぎ、

この世に灯し続けたい、と強く思うようになった。

 

祖父の道具を使いながら、そんな風に思い始めた。

 

古手の木や石、土を山や倉庫から探してきて、古手の錆びた釘を使い、川から砂をさらい、練り上げて、

元ある姿を邪魔しないように、そっと手を加える。

 

古い建物の思い出や歴史に耳を澄ませて、

 

手を加え過ぎず、邪魔しないようにそっと手を加える改築。

 

現在の日本の建築は、工業製品で覆われて表情が画一化、部品化され、末には建てては壊す悪連鎖の中にある。

 

建築とは、本来、完成した時から始まり、年月を経て価値が高まり続けるもの。

そこには、歴史がある。そして改築とは、本来建物のあるべき道姿、なのかもしれない。

 

僕は、年月を経てこそ、味わい深く、経年を楽しむ表情のある建物を、真っ直ぐな想いでつくりたい。

 

工事を自ら行い、建物が持つ魅力や場の魂を、身を以て体感し、汗を流し、考え、悩み、

そして僕の建築の新しい可能性を、祖父が気付かせてくれた。

 

 

『おじいちゃん、見てくれてるかなぁ。。。』

 

 

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PROFILE

山本 雅紹

建築家
山本 雅紹
Masatsugu Yamamoto

一級建築士

宅地建物取引士

 

その場にしかない空気を求めて

 

十代の頃から世界を旅している

 

あの町のあの曲がり角で感じた風

路地に差し込む光

 

水面を照らし出す夕陽

樹々の隙間から漏れる光と影

 

人が彩る熱帯

人が集う静寂

 

旅は空気を教えてくれる

目に見えない空気をつくりだす

 

建築は空気。

 

山本雅紹

 

<趣味>

世界中の町の空気を肌で感じる旅を10代の頃から続けています。旅を通してその場で感じたことは、建築をつくる上で大きな原動力となっています。

 

<旅した国>

フランス/イタリア/スペイン/ドイツ/スイス/トルコ/オーストリア/エジプト/アメリカ/フィンランド/カナダ/インド/カンボジア/中国/タイ/インドネシア/メキシコ/ポルトガル
旅のスケッチ

 

<好きなこと>

ビールを飲むこと

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