文化。
本日、撮影日。
設計案を考え、現場へ行って確認を行い、
また新しい敷地と出会って、イメージを練って、建築を考える。
そして、こうして完成した後に、撮影をする日を迎える。
建築は、とにかく長い。時間がかかる。
そりゃ、建物をつくることって、
様々な制約の中、身近な人間社会において最も大きなものを、無からつくりあげることなんだから、
ましてや、通常以上の素晴らしい建物を求めるとなると、なおさら時間はかかる。
建物をすぐつくることは、簡単で、設計事務所や建設会社さんの経営を考えても、むしろそうすべきだけど、
素晴らしい建物をつくるためには、時間がかかる。当たり前だ。
忘れられがちだが、今、建物をつくっている目先の時間よりも、遥か先に、建築の寿命はある。
建築の寿命はとにかく長い。
建物をつくる時、多少時間がかかっても、それが結局は、施主さんにとって最終的には素晴らしいことになる。
仮に今はよく分かって頂けない方がいたとしても、何年後かには、そう感じる日がきっと来る。
僕はいつも未来を見て、そう感じているし、過去を見ても、今までも実際みんなそうだった。
それを知っているから、建設会社さんも、建築家も、目の前の建築にただ純粋に向き合っている。
やっぱり、建築は文化なんだと思う。
文化だからこそ、施主さん、建設会社さん、建築家は皆、対等で、誰が上でも下でもない関係のもと、
三者が同じ想いを持って建築の実現へ向かう、そんな関係性があって初めて成立するものだと思う。
その関係性があるから、建設会社さん、設計事務所も採算とはかけ離れたところで、歯を食いしばって施主さんのために頑張れる。
そうじゃなかったら、建築はただの消費型のフツーの商品、ちっぽけな自己満足の消耗品にしか成りえない。
僕は、建築はそうあってはならない、と考えている。
だって建築は、日本の風景の一部であり、人類の財産、そして文化なのだから。
僕が旅して出会った世界中の名建築は、その理解の上に、今もこれからも、人類の文化であり続ける。