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4時45分。

imageここに来たかった。
 
数年前に旅したヨーロッパのロマネスク教会群。
その時行けなかった教会…
今回の旅でどうしても行きたくて、ここだけは…と念じて。
 
人里離れた村の宿に前乗りして、翌朝のミサに備え、夜もそこそこにして早めの就寝。
翌朝4時。宿をそっと出る。外はまだ肌寒い。
街灯一つない暗闇の空。澄んだ空気と届きそうな星たち。
遠くの山のシルエットが月明りで薄っすらと浮かび上がっている。
怖くなるほど真っ暗闇の世界の中、風で消えかかりそうな一筋の灯りを求めて、おそるおそる歩みを進める。
 
扉の隙間から漏れる灯りを前に、大きな木の扉をぎぃっ…と怖々、中へ。
闇から、光へ。無から有へ。
 
4時45分。朝のミサが始まった。
 
そこで感じた想い。
 
闇の音。
闇の中に音は確かに存在する。
闇と静寂の中、次第に耳の奥が重たくなって空気の音が聞こえてくる。
石の分厚い壁を通して聞こえる虫の音。風の音。そして空気の音。
張り詰めた空気の音が確かにそこにある。
暗闇の静寂の中では、自分の細胞の音が確かに聞こえる。
 
普段聞こえない音が聞こえる世界。
闇の中にこそ真実がある。
闇の中にこそ真の心の安らぎがある。
 
そして夜が明けた。

新年。そして、カカシ。

image新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
帰省した僕を迎えてくれたのは、いつもの親父作、謎のカカシ…。
 
家の鬼門に鎮座するカカシを初めて見たときは、驚きを超えて恐怖すら感じる出来栄えに、
いつもながら『なぜ作ってんの…??』の問いが僕の中に広がっていく。
 
その後、親父と墓参りをした時、訊いてみた。
『あ、あの帽子は…?あ、あの座布団は…?そして、あ、あの表情は…?い、祝。て…、ど、どういうことなん?一体何で作ってんの?』
直球で訊いてみた。
 
『そら、おまえ、カカシは廃品で作るからカカシなんや。おれのカカシの定義はそこや。』
作者の想いが、意味不明に自信満々で返ってきた。
 
い、いや、素材ではなく、作ってる動機を訊いていたのですが…
 
家へ帰ると、その問題のカカシを早速撮影している人を発見…
よりによってお正月に、一体どこでこのカカシのことを聞いて来られたのか不明だが…。
親父と一緒に、ご来客の方へご挨拶すると…
 
『Nice to meet you!』
 
は…?
 
首からは報道機関、CNNと、あの馴染みのロゴ。
『ワタシ、日本ノ文化ヲ紹介シテイマ〜ス』
 
な、なんでここやねん!!!
 
てなことで、その後も珍客続きで、カカシの前で記念撮影をされてる方が、
『この写真持ってたら一年ご利益ありそうです〜』
 
いや!いや!絶対ないやろ!!!
 
てなわけで、よくわからん賑やかなお正月でした。
仕事は真面目にやっておりますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

沖縄のたかじん。

imageimage大阪恋物語ぃ〜
 
忘年会シーズン真っ只中のTシャツ短パンの沖縄から。
 
『海行ったから、魚取りにきて』
 
ヤッタァー!!!
 
沖縄高級魚ベスト3に入る“たかじん”もとい!“あかじん”頂いちゃいました〜!!!
食感があって、クリィミーな味わいで、伊勢海老に近い贅沢な味。ビールと美味しく頂きました。
 
そして海ぶどうてんこ盛りも頂きました〜!!!美味しかったぁ〜!!!
 
昨晩もご自宅に招いて頂いて、泡盛と美味しいお料理と、幸せな幸せな笑顔の時間でした〜!
いつもいつも、本当にありがとうございます。
 
温かい心と笑顔、美しい自然に包まれて。
すべてに感謝。
 
背中に風を受けながら。

オレンジピンク【2015夏 vol.6】

imageオベリスク。
 
僕は、夕暮れ時のオベリスクが大好きだ。
 
悠久の時を経て、佇むオベリスク。
オベリスクを眺めていると、いつも切なくなる。
エジプトにあるオベリスクとは明らかに違う表情の。
だから、いつも眺めていると切なくなる。
 
夏の真っ青な空の下、街をさまよい、気がつくとオレンジピンクの空。
 
ふらっと立ち寄ったBARでお兄さんが二杯目のビールを丁寧に注いでくれた。
一杯目は、ちっちゃなレジカウンターに座ってたちょっとこわそうな女将さんが睨みを効かせてたせいなのか、女将さんがたまたま席を外してる二杯目のビールは格別に丁寧に何度も何度も泡を捨てて、注いでくれる。
特別だった二杯目のビール…
 
てな訳で、ビールとオレンジピンクに染まったオベリスクと…

みどり〜沖縄。

imageimage沖縄の幸、いただきました〜!
 
海ぶどう山盛りとバジル山盛りです!
 
『今どこ?こっち来れる?』
 
ということで、車で畑まで〜。
 
バジル畑で摘み取りさせてもらって、そのあと、海ぶどうもいただいちゃいました!
沖縄の食材はミネラルが豊富で、温暖な気候と共に身体に本当に良いんです。
野菜を育てる土も沖縄北部と南部で違っていて、造園の木も北部と南部によって土が違うので、育ちにくい木もあるんです。
素晴らしい自然がいっぱいの沖縄。
 
皆さま心が本当にあったかくて、一緒の時間がとても幸せ。
夢の島。沖縄。
 
すべてに感謝。
 
今日も朝からTシャツです。

永遠の時。【2015夏 vol.5】

image廃墟の修道院。
 
遺跡と同じ空気が流れている忘れ去られた草原の廃墟の建築。
屋根は朽ち、床は土が現れ、ガラスが抜け落ちた窓。
 
空と雲。
長い時間の流れだけが存在する。
 
目を閉じると、そこで暮らしていた修道士や風の音が聞こえてくる。
 
永遠の時の中で。

一生栄養満点注射【2015夏 vol.4】

imageimageう!
美味い!
 
とにかく美味いんです。
毎食毎食、楽しみで仕方がない。
 
お金が無かった独立したての頃は、とにかく空腹を解決するために、毎食毎食寝ても覚めても納豆ご飯に素うどんの生活を送っていた。
毎食同じだったら、脳は満腹感を感じない、ということを身を以て体験したので、週に二回ほどは、うどんに卵を落としたり、冬には豆腐を投入してアレンジし、脳をだましていた。
ここに来て幼少の頃の訓練が活きることに。
かれこれ3年くらいそんな生活してたかなぁ…
 
そんな時ふと、一生お腹が空かない、一回注射したら一生何も食べなくてもいい『一生栄養満点注射』とかあったらなぁ…なんて真剣に考えてたあの頃。
 
今では…
食って文化やなぁ…
なんて分かったこと言いながら、現地の人たちに混じって、店員さんとワイワイ言いながら味わう食とお酒は最高〜!!!
 
あの時、一生栄養満点注射打たなくてよかったなぁ…

ラニー博子。

image『寝ても覚めても博子のこと考えたいねん。』
 
キラキラした表情でヨシミは言った。
 
ヨシミとは【ブログ~二人の夏】に登場する幼馴染の親友で、大阪市の天王寺動物園で毎日、象 ラニー博子のお世話をしている。
 
先日、進行中の現場確認のため大阪へ行ったその晩、ヨシミと久しぶりに飲みに行った。
 
只今、今週末に控える知事市長選挙前でホットな大阪、そして更にホットなのがヨシミも勤務している大阪市の天王寺動物園。
久々に見た天王寺動物園は、エントランスに【てんしば】が出来て、ビックリするくらい変わっていた。
 
今では沖縄にも居点を構えているが、生まれも育ちも大阪コテコテの僕は勿論のこと、ほとんどの大阪市民は天王寺動物園は暗い、汚い、というあまりナイスなイメージを持っていなかった。
が!既述の【てんしば】が出来たことや動物園の方々の努力もあって、『ここどこ!?』を連発する様変わりで、何十年も代わり映えしない大阪(特に大阪市)が、明らかに変わってきている、と強く感じた。
 
仕事で往来する度に感じる東京、沖縄の発展を横目に、大阪は何十年もの間、大阪府と大阪市がバラバラの行政(二重行政)を行っていた結果、東京では、縦横無尽に張り巡らされた鉄道網でどこへでも接続良く行くことができるが、大阪はほとんどの路線が行き止まりで不便極まりない。大きな公園の数も質も東京と比べて全くお話にならないレベルであり、これら二重行政による弊害は、様々な場面で大阪の成長を妨げてきた。
また、大阪市“外”は、山を切り崩し開発し、年月を経て徐々に活性化している地域もあるが、大阪の中心部である大阪市“内”は僕が生まれ育って40年間、嘘のような本当の話だが、大阪市“内”の風景は何一つ変わらない、明るい話題が何一つ無い、お先真っ暗、衰退の街、と言っても過言ではなかった。
 
しかし、この【てんしば】による天王寺動物園周辺の劇的な変化や、沖縄大阪往復の際にいつも感じる、あの閑古鳥が泣いていた関西空港の外国人旅行者数の数年前からの圧倒的な増加等とってみても、今までの大阪ではあり得ない変化が起こり始めている。
 
10代の頃、初めて海外へ旅した時は、関西空港がまだ完成しておらず、船で出国した。そして関西空港が開港した年から今まで、これほどまでに関西空港に人が溢れている風景は見たことがない。
 
何十年もの間、大阪府と大阪市がバラバラの行政を行ってきたが、ここ数年は、大阪府と大阪市が一体となって同じ方向を向き、新たな都市計画を策定し、梅キタに大きな公園も将来完成する等、様々な改革が進められようとしている。
長い長い停滞期を経て、今、大阪(特に大阪市)は確実に変わり、前進し始めている。この前進をこれからも継続して欲しい。
日本を飛び出して外国から見た時にこそ見えてくる日本の良さと悪さ、と同じ感覚で、大阪から離れてこそ見えてくる大阪の変化と目覚め。
 
そんな故郷大阪。
 
ヨシミとは小学生からの付き合いで、会うと必ず大爆笑の連続で、家も近所で僕が留守の時はストーカー気味にパトロールをしてくれている。
いつも優しくて、素直で、とても可愛らしくて、大好きな親友。
 
彼は昔からとても優しい人間なので、動物のお世話は本当に向いていると思っていたが、それは勿論のこと、動物のことを知りたい、知ろうとする姿勢、仕事に対する前向きな気持ちにはいつも感心させられる。
 
象のために、休みの日も体のケアや、様々な勉強の機会を伺い、あの晩も、東京で象の講演会があるから一人で行く、と言っていた。
動物を語るヨシミの目は、キラキラと輝き、口から出る言葉全てが愛に溢れ、そしてポジティブそのもので、話をすればするほど僕も幸せな気持ちになっていった。
昔からよく知っている僕にとってのヨシミは本当に可愛くて、インドへ行った時も二人分の汽車の切符を買いに行った僕を少し不安げな表情でじっと待っている、そんな可愛らしい男だった。
 
今では、人に幸せな空気を与え、常に前向きで、動物を愛し、夢中に仕事をしているヨシミが本当に頼もしく、誇りに思う。
 
我が親友が住む我が故郷、大阪。
超高齢化社会を前に、もっと若い世代が主役となる(勿論お年寄りの方にも優しい)魅力溢れるHOTな街にして欲しい。そして、そうしたい。そのためには、若い世代の人たちが大阪の未来について自らの頭で考えることが大切だと思った。
 
なんてことを想いながら、今夜も那覇の夜の街で、たかじんの『東京』を熱唱する。
 
 
写真は、先日亡くなった大阪市の天王寺動物園、象の春子の物語です。
皆様、是非とも映画館でご覧下さい。
ヨシミも出演してます〜!!!

大理石の産地へ with RAKUEN interior【2015夏 vol.3】

image今回の旅の目的でもある、RAKUEN interiorで制作中のレリーフ、家具の進捗視察のため、大理石の産地へ。
 
工房の中は撮影NGで、写真は今回新たにオーダーしたテーブルの石を選定するために石切場をさまよう午後。
 
大きな工房では、職人さんが腕を奮い、制作に没頭していた。
制作中のレリーフの仕上げ方について、どこまで表情を表現するか、石の素材感が最も現れる仕上げ方について、現地の職人さんと打ち合わせをする。
石に魅せられ、石の意志を求めて。
 
【建築とインテリア、家具、造園を一体的に設計する】
 
これが僕たちの目指す世界である。
 
日本の設計事務所は、建築をつくることがメインで、インテリア、家具、造園はなおざり、というケースが多い。
確かに建築を設計するだけでも、本当に大変な仕事で、建築設計の範囲は膨大に多岐に渡る事柄を整理、構築、そして創造していかなければならない。
そのような現実もあり、【インテリア、家具、造園】が一人の建築家の手から離れ、違う人の手が入り、【建築】とはバラバラに作られている。(勿論、住み手自身による愛情が溢れたインテリアに触れた時は幸せな気持ちになる。)
建築の規模が大きくなればなるほどそのような傾向は強くなるが、しかしやはり僕は規模に関係なく一人の建築家が手間暇かけて、建築からインテリア、家具、造園、まで設計した世界にこそ、真の空間が宿ることを知っている。
世界中で感じたあの建築たちのように…
 
独立して十数年、僕は一人の建築家のもと、【建築】と【インテリア、家具、造園】を一体的に作り上げたい、と常々考え、造園の樹一本でも自分の目で確かめ、その空間にあるべき家具を一つずつ作ってきた。
 
そんな想いで設立したRAKUEN interiorは、建築家山本雅紹が、家具、造園、照明、キッチン、オブジェまで、目に映るすべての世界をトータルにデザインし、建築を発想した時の空気感の具現化、表層的な形ではない建築と調和したインテリア、家具、造園をすべて、山本雅紹自身が作り上げている。
 
最近ではこの考え方に共感を頂き、【建築】と【インテリア、家具、造園】の一体的な設計をご依頼頂き、とうとう海外にまで来た。
 
建築とインテリア、家具、造園は別々には存在しない。
建築を設計するプロセスで、インテリアを緻密にイメージしながら窓辺の空間を設計し、時々刻々移り変わる陽の光を間接的に導くための壁の設計と共に照明設計を、室内は少し明るさを抑えた設計とし、光り輝く外の庭をデザインする。
 
建築とインテリア、家具、造園は別々には存在しない。
同じ美意識で同じ一人の建築家でつくられた世界にこそ、唯一、世界にどこにもない空気がそこに宿る。
 
【建築とインテリア、家具、造園を一体的に設計する】
 
 
RAKUEN interiorの家具、造園、インテリア、オブジェの実例は、こちら http://rakuen8.com でご覧になって下さい。実例の目に映る全ての世界は、山本雅紹建築設計事務所➕RAKUEN interiorでデザインしております。
 
今月発売のI’m homeで、僕たちが設計させて頂きました作品が掲載されます。
この作品は、建築設計は山本雅紹建築設計事務所、家具、インテリア、造園はRAKUEN interiorでデザインしています。

ポルチーニ!!!【2015夏 vol.2】

imageこれ、たまりまへん…
 
柔らかいステーキに、ふっかふっかのポルチーニ!!!
下手な写真では伝わりませんね…
ステーキと一緒に食べたら、口の中でとろけます…
とある小さな街でふらっと入った食堂にて。
 
イタリア人はとにかくやかましい。
騒音の中、食事してる感じ?だが、4、5日イタリアで暮らすと、何やら、イタリア人が可愛らしく思えてくる。
 
『Buono!!!』
ってこっちが素直に感情を現したら、ノリノリでどんどん心の距離が近づいてくる。
その上で『オススメは?』なんて言うと、とにかく熱くドンドン勧めてくる。
ランチ終わりの休憩なんかは、店員さんとみんなでワイワイ、ワインを飲んだり。
彼らの仕事に対する取り組み方、そして日々のその時その時を常に楽しんでいる姿は大好きだ。
 
あ〜、帰りたい…な〜んて。

PROFILE

山本 雅紹

建築家
山本 雅紹
Masatsugu Yamamoto

一級建築士

宅地建物取引士

 

その場にしかない空気を求めて

 

十代の頃から世界を旅している

 

あの町のあの曲がり角で感じた風

路地に差し込む光

 

水面を照らし出す夕陽

樹々の隙間から漏れる光と影

 

人が彩る熱帯

人が集う静寂

 

旅は空気を教えてくれる

目に見えない空気をつくりだす

 

建築は空気。

 

山本雅紹

 

<趣味>

世界中の町の空気を肌で感じる旅を10代の頃から続けています。旅を通してその場で感じたことは、建築をつくる上で大きな原動力となっています。

 

<旅した国>

フランス/イタリア/スペイン/ドイツ/スイス/トルコ/オーストリア/エジプト/アメリカ/フィンランド/カナダ/インド/カンボジア/中国/タイ/インドネシア/メキシコ/ポルトガル
旅のスケッチ

 

<好きなこと>

ビールを飲むこと

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